著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

いたずら書きしながら作業すれば集中力が高まり記憶力が増す

公開日: 更新日:

 脳は、一定限度の量の注意力しか備わっていないといわれています。それを使い切ってしまうと、他の刺激による情報の処理が停止してしまう。こういった脳の働きを「認知負荷理論」と呼びます。例えるなら、何か高い買い物をして予算を使ってしまうと、他のものが買えなくなってしまうような感じでしょうか。

 実験を主導したアンドレイド氏は、「いたずら書きは、小さな認知的負荷しかかからない。それでいて、集中力を向上させる」と話しています。つまり、いたずら書きは費用対効果のいい、脳の集中力の使い方なのです。

 集中して会議や打ち合わせを聞き続けていると、一気に集中力を消費してしまう。ところが、いたずら書きや落書きをすると、集中力の消費スピードにブレーキがかかるような効果がある。上手に力を逃がす術でもありますから、感電を防止する“アース線”のような効力がある。さらには、手を動かすことは脳の活性化にもつながりますから、いたずら書きはとても有効的な手持ちぶさた解消法でもあります。ただし、話をしている方は、そんな効力があるとは知らない可能性が高いですから、「あいつ、話を聞いていないな」と思われない程度にとどめておくように。

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