「出会いに感謝」「苦労と握手」若手医師に伝える心構え
前回まで若手医師の手術指導についてお話ししてきました。
若手が手術に臨むには、基本的な手技と局所解剖の知識を身につけることが大前提なのはもちろん、メンタルとフィジカルのコンディションをしっかり整えることも求められます。また、患者さんの命を預かるわけですから妥協は許されませんし、強烈なプレッシャーを受ける場面もたくさん訪れます。そのため、指導者側が厳しい言葉で指導する場合も少なくありません。そうした環境を乗り越えられる若手が外科医としてのスタートラインに立てるのです。
さらに、若手にとって何より重要なのは「“出会い”に対してしっかりと感謝できるかどうか」です。自分が携わる多くの患者さん、さまざまな病気、与えられた環境……そういったすべての出会いに対し、「ああ、このために自分はここまでやってきたんだな」といった思いから、感謝できるかどうか。これは、外科医として成長するための“入り口”といっていいかもしれません。
また、「苦労と握手できるかどうか」も大切です。自分にとってすごくつらい出来事や艱難辛苦に見舞われたとき、逃げ出したりせずに真正面から受け止める。どんなに難しい局面に立たされても、原点にさかのぼって理由を探せば次のステージに進むためのヒントが見えてきます。