「抗体カクテル療法」は誰もが受けられるわけではない
今年7月、厚労省が新型コロナウイルス感染症の治療薬として特例承認したのが「抗体カクテル療法」だ。50歳以上や糖尿病、慢性腎臓病、慢性肺疾患の持病があるなどの重症化リスクが高い軽症・中等症患者を対象にして、東京や大阪などで導入されている。発症7日以内でないと効果が少ないともいわれるが、重症患者の増加に歯止めはかかるのか――。
【Q】抗体のカクテル療法とは何か
【A】「新型コロナウイルスの感染を防ぐ『カシリビマブ』と『イムデビマブ』の2種類の中和抗体を組み合わせた点滴を投与するというものです。左のイラストに示したように、中和抗体はコロナウイルスの表面のスパイク(S)タンパクにくっつく抗体です。それによって感染細胞のACE2レセプター(ウイルス受容体)が体表面の上皮細胞などに結合しなくなるため、感染が体内に広まらなくなる仕組みです」
抗体カクテル療法のもとになったのは、30年ほど前に開発された、細胞融合法。これにより同一の抗原に対する抗体が大量につくられるようになった。