第4のリスクマーカー「高尿酸血症」を8割以上の医師が注視 食生活の改善、対策のカギは減量と乳製品か

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コロナ禍で痛風、高尿酸血症が増加!

 コロナ禍の外出自粛生活の長期化で、「痛風」「高尿酸血症」患者増加を実感する医師が約5割もいることが日本生活習慣病予防協会の調べで明らかになった。加えて、8割以上の医師が、心血管疾患との関連で、糖尿病、高血圧症、脂質異常症のいわゆるトリプルリスクに次いで、高尿酸血症を「第4のリスクマーカー」として重要視しているという。心血管疾患は、国内死亡率・数ともに、がんに次いで第2位となっている深刻な疾患だ。巣ごもり生活が続く中で、高めの尿酸値にどう対処すればいいのだろうか。

 ◇  ◇  ◇

「コロナ禍の巣ごもり生活で運動量が圧倒的に減り、肥満が進んだ人が増え、尿酸値が高くなってしまう方も増えたのではないかと考えられます」と話すのは、大阪市立大学大学院医学研究科の藏城雅文医師。

 そもそも尿酸は、生体内の物質合成や成長、運動などの反応に使われるエネルギー伝達物質(ATPなど)の代謝産物。新陳代謝によって生じる老廃物、あるいはエネルギーの燃えかすをイメージするとわかりやすいだろう。

「尿酸値が7.0㎎/㎗を超えると高尿酸血症と診断されるのは、血液中に溶ける尿酸の境界線が7.0㎎/㎗で、溶けるか溶けきれないかの基準で決められています」(藏城医師)

 尿酸値が高くなる理由は2つある。1つは、尿酸の原料になるプリン体を多く含んだ食べ物を食べるなど、プリン体の摂取量がふえる「産生過剰」によるもの。2つ目は、体内で作られた尿酸が排泄されにくくなる「排泄低下」による場合である。ではなぜ、尿酸が出て行きにくくなるのか。

「その一番大きな要因は肥満。つまり、内臓脂肪の蓄積が尿酸の排泄に悪い影響を与えているのです。尿酸は腎臓で100%濾過されますが、その後、再吸収が行なわれ、6〜10%が尿として排泄されます。しかし、肥満が進むとインスリン抵抗性が高くなり、インスリンの効き具合が悪くなる。このインスリン抵抗性が高くなると、尿酸の再吸収が多くなることが分かっています。結果、排泄される尿酸が少なくなってしまうのです」

 ちなみに、痛風発作は、関節の中に溶けきれなくなった尿酸塩結晶が溜まり、その一部が剥がれ落ちるときに発生することが多いそうだ。

「尿酸塩結晶が剥がれ落ちると、異物に反応した免疫は細菌感染が起きたと判断し、それを除去しようと攻撃します。それが痛風発作の激しい痛みの原因なのです」

痛風だけではない高尿酸血症の怖さ。まずは肥満の是正から

 高めの尿酸値が引き起こすのは痛風だけではない。日本生活習慣病予防協会が実施した調査によれば、362人の医師のうちの8割以上が医療現場の実感として「高尿酸血症を、糖尿病、高血圧症、脂質異常症と並んで、第4の心血管疾患のリスクマーカーとして注視している」のだ。

「実際、尿酸値の高い人は、将来、腎不全を起こしやすくなることがたくさんのデータで示されています。また、尿酸値の高い状態が心血管障害などで死亡するリスクを高めることも分かりつつあります。厚生労働省が発信している循環器疾患対策でも、生活習慣病の是正という観点で、高尿酸血症が加えられていることからも、痛風だけではない様々な疾病を招く危険性が示唆されていることが分かります」

 藏城医師は、尿酸値対策として、まずは肥満の是正を挙げる。

「肥満の人が体重を3%減量すると、尿酸値が有意に下がったと報告している論文もあります。例えば、70キロの人が2.1キロ(3%)痩せれば、尿酸値が有意に下がることが期待できるのです」

 もちろん、食事の内容も重要だ。アルコールや肉類、魚介類、糖質などは尿酸値上昇のリスクを高めてしまう。

「アルコール自体に尿酸値を上げる働きがあります。特に、ビールはプリン体が多く含まれている上に、アルコールを分解するためにATPを使うので、分解産物が尿酸になる。つまり、ダブルで体の中の尿酸を増やしてしまうのです」

医師の7割以上が勧める乳製品で対策を

 前述の調査でも、医師の7割が勧める乳製品。中でもヨーグルトを推奨する医師が最も多かった。「乳製品は痛風の発症を抑制してくれることが分かってきた」と話す。

「乳製品をたくさん摂っている人は、摂っていない人に比べて痛風の発症が半分以上に抑えられていることが報告されています。ヨーグルトは手軽な点に加え、中でも乳酸菌PA-3株が入ったヨーグルトは、乳酸菌自身が生き延びるために、人が食事などで摂取したプリン体を分解し、自らの栄養素として取り込んでしまうことが知られています。体に吸収されるはずのプリン体の一部を乳酸菌が減らしてくれるので、体に吸収される量が減ります。

 臨床試験でも、PA-3株の乳酸菌を摂取していると、食後の尿酸値の上昇が抑えられたことが明らかとなっています」と効果を説明する。

「節制が中心となる尿酸値対策の中でも、おいしく食べて、効果が期待できるのは、とてもいいと思いますね」

 尿酸値が心配だという人は、減量と食生活改善が対策の一手なのかも。

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