在宅医療が病院と大きく違うのは、コミュニケーションの多さ
「在宅医療」と「病院」にはいろいろ違いがありますが、中でも特に際立っているのが、患者さん側と医療スタッフ側とのコミュニケーション(会話)の多さです。
しかもそれは、私たちから患者さん側に伝える病状や今後の見通しといった療養や実務に関する説明事項にとどまらず、患者さんからもたくさんのお話を伺います。
これが病院ならば、忙しく立ち回る医師や看護師と長話をすることは、つい気後れしがち。しかし、在宅医療の場合は大丈夫です。
そのため患者さんから病気に関する素朴な質問をはじめ、時に余命時期といった普通なら深刻過ぎて言葉を濁すような内容についても、普通に会話の中でやりとりすることがあります。特に私たちと患者さん、ご家族との間で十分な信頼関係が出来上がっている場合には、笑顔を交えながら、和やかにお話しするケースも少なくありません。
患者さん自身が雑談の中などで自分の人生を振り返り、ご家族も初めて聞くような心に残る思い出や、場合によっては悔恨の思いを披露されることもあります。そんな時はいつも共感し、励まし、一緒に笑い、時間を共有するように努めています。それはその会話が不安やこだわりの心を溶かし、患者さんの心を整える効果があると信じているからです。