在宅医療が病院と大きく違うのは、コミュニケーションの多さ
在宅医療をスタートさせておおよそ1年半後、老衰で静かに旅立たれた96歳の男性。その方は、妻と2人暮らし。実直で寡黙な元銀行マンでした。
療養中は、社交的でおしゃべりが大好きな明るい性格の奥さまと、私たちの会話を常にニコニコしながら聞いていた旦那さん。
そんな奥さまから少しずつ伺った話によると、旦那さんは6人兄弟の長男でしたが、本人が大学生の時にお父さまが亡くなり、兄弟の親代わりとなって弟たちの面倒を見たそうです。本人が奥さまと結婚した時には、一番下の弟さんが中学生だったとか。
奥さまとは銀行員時代の職場で出会ったということですが、当時は銀座店に転勤になっており、デートはもっぱら銀座だったとか。
奥さまは女子校育ちで、男性と話すのはドキドキだったけど、嫁いだ時に家に兄弟がいっぱいいて楽しかったと、懐かしそうに旦那さんとのなれ初めを話されていました。
そんな奥さまが旦那さんが旅立たれた後、しばらくして私たちに語った言葉が印象的でした。