著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

患者はその場ですべてを聞いて判断し、納得しなくてもいい

公開日: 更新日:

 在宅医療におけるコミュニケーションの取り方の特徴は何かといえば、「とにかく繰り返し伝える。その都度、きちんと説明する」ことです。

「先生、本当に最期まで自宅で過ごせるの?」と聞かれたとします。入院か在宅医療かで迷われている状態での問いかけか、退院したばかりの不安な状況で出てきた言葉か、自宅で療養する自信がついた中で先生のダメ押しが欲しいのか……。患者さんの状況で答えは変わってきます。

 在宅医療の経験前なら、いろいろな選択肢があり、それぞれの良い点と、場合によって要望がかなえられないことなど、まんべんなくお話しします。在宅医療中の人なら、これまでやってこれたから大丈夫と、自信を持てるようにお伝えします。

 私たちが日頃、患者さんへの伝え方で意識するやり方に、「刷り込みコミュニケーション」というものがあります。多色刷りの版画をイメージしてみてください。最初に下地の色を付けるみたいに全体の概要を伝え、その中にこちらが伝えたい重要なことをちりばめるやり方です。

 リアルタイムではさして気にせず流して聞いているような内容も、その言葉が示す状況が来たときに再び伝えると、「そういえばあのとき先生が、ああ言っていた」と、版画の絵が浮かび上がるように患者さんにイメージが伝わり、ストンと腹の底に落ちる――。これが、刷り込みコミュニケーションです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」