抜け毛が増えたかも…病気を心配すべき「薄毛」はある?
薄毛というと、成人男性を中心とした髪が薄くなる「男性型脱毛症」(AGA)が一般的です。それ以外の病気が原因となる薄毛には主に「脂漏性皮膚炎による脱毛症」「甲状腺機能低下症による脱毛症」「びまん性脱毛症」があります。びまん性脱毛症以外は、脱毛以外の症状も伴うのが特徴です。
最初に「脂漏性皮膚炎」は、皮膚の常在菌であるマラセチアというカビ(真菌)の一種が増えることで発症します。菌が増える原因は分かっていませんが、皮脂の分泌異常、ビタミンB1・B2代謝異常、ストレス、睡眠不足、男性ホルモンの乱れが影響していると考えられています。男性に多い病気で、皮脂腺が多い頭や顔面などに湿疹ができ、とくに頭皮や鼻、耳に赤みが見られます。湿疹になった頭皮からうろこ状のフケがポロポロ出てきて、抜け毛の原因になっています。
治療は、患部に抗真菌薬やステロイドの塗り薬を塗って炎症を抑えます。またマラセチアは脂肪成分を栄養にするため、皮脂を落として頭皮の清潔を保つよう患者さんに伝えています。
次に「甲状腺機能低下症」です。代表する慢性甲状腺炎(橋本病)は、代謝をつかさどる甲状腺ホルモンの量が不足して新陳代謝が低下し、抜け毛の症状も伴います。抜け毛に加えて低体温、食欲不振、顔や足のむくみを訴える患者さんが多く、内科や精神科を受診し、採血検査で判明するケースが多いです。