「死ねない時代」における医療との向き合い方 3つの心構え

公開日: 更新日:

 実際、かつては不治の病とされた各種がんも、集学的治療が功を奏し、ここ30年間で5年生存率は改善。その脅威は峠を越している。

 この間、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)などの検査機器、AIによる画像診断、手術支援ロボット、人工臓器などが登場した。創薬、食事運動リハビリなどの知見の集積と技術の向上に加え、救急体制の整備なども進んだ。国民一人一人の健康への意識も変わり、飲酒や喫煙などの習慣を改めて、運動や減塩に励む人が増えた。その結果、各人の体力が改善し健康長寿社会が実現している。しかも、「老化は治療できる病」となり、超長寿に向け医療は進化している。

 注意したいのは、治療できることとお金がない中高年がその恩恵を受けられることは別だということだ。いくら老化を治療できるようになったとしてもヒトはいつかは死ぬ。そのとき医療は、患者が「十分生きた。もう結構」と言わない限りはあらゆる医療技術を動員してでも生かすはずだ。

 そもそも厚労省発表の19年度の国民医療費は43.6兆円で国の負担は限界に近い。10月から原則1割だった75歳以上の医療費自己負担を、個人年収200万円以上、夫婦で同320万円以上の世帯は2割になることを発表している。「致死的な病気」は国が面倒を見るが、そうでない病気は全額自己負担になる日が来るかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造