新型コロナウイルス 感染拡大!

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 新型コロナウイルスの感染拡大は依然として収まる気配がなく、マスクの着用、手洗い、換気、三密の回避など人々は引き続きさまざまな手を打っている。そんな中、最も日常化しているのはマスクの着用だが、そこにも一長一短問題があるのだという。それは……。

■マスク不着用の人が増えてきたが……

 世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス、そして、毎年冬になると話題になるインフルエンザは、ともにウイルスに感染することによって発症する。そうした病気にかからないようにするためにはウイルスに負けないよう体の免疫力を高めることも大事だが、それ以前にウイルスが体に入らないように注意することも忘れてはならない。

 マスクの着用はウイルスを防止する最も基本的な対策だ。しかし、例年にも増して猛暑が続く今年の夏、マスクをしていると「暑くて不快感が強い」「息がしづらい」などの理由からマスクを外している人も増えてきた。

 事実、口腔・唾液ケアを通じた健康づくりに関する情報発信を行っている日本唾液ケア研究会が一般の生活者1000人を対象に実施した「マスク着用意向に関するアンケート調査」でも、今年の夏にマスクを外すかどうかを聞いたところ、2割強の21.4%の人が「外す」と回答。中でも30代(24.0%)、20代(23.5%)の若い層で「外す」という人が多くなっているのが分かった。

マスク着用で起こる意外な弊害

 前述したように、マスクの着用はウイルスの体内への侵入を防止する最も基本的な対策だが、そこには1つ問題があるという。つねにマスクをしていると口内環境が悪化してしまうというのだ。

 槻木恵一神奈川歯科大学教授はいう。

「マスクを着用するとどうしても口呼吸が増えるので、それによって口腔内が乾燥し唾液力の低下を促進してしまうのです。また、マスクの着用によって口を動かすことが少なくなったことも唾液力低下の一因です。口を動かすことで唾液腺が刺激されて唾液が分泌されますが、動かさないと刺激を受けることがどうしても少なくなりますから」

■唾液中のIgAに注目!

 槻木教授がいう唾液力とは唾液の量と質、2つの総合力を表す。唾液は1日に1000~1500ml分泌され、口内細菌や食べかすを洗い流し、唾液内に含まれる免疫成分で細胞へのウイルスの侵入を防ぐという極めて重要な役割を担っている。

 それだけに唾液の量が少なくなると自浄作用が低下し体にさまざまな悪影響を及ぼして、唾液が本来持っている機能が十分に働かなくなる恐れが出てくるというわけだ。

 さらに、槻木教授は

「唾液はほとんどが水分からできていますが、残りの数%にウイルスや細菌などの異物の侵入を防ぐ『粘膜免疫』というバリア機能を担う成分も含まれ、その中心的な役割を持っているのが『IgA』と呼ばれる免疫成分です。IgAは口腔内などさまざまなウイルスが侵入する場所で活躍し、新型コロナウイルスに対する唾液中のIgAも確認されているのです。つまり、唾液の質を高めることが新型コロナウイルスの感染リスクを下げる効果が期待されるわけです」

 とその存在の重要性を強調する。

まだまだ必要な感染症対策

 たしかに「マスクを着用していると口内環境が悪化する」という槻木教授の言葉を裏付けるように先に紹介した日本唾液ケア研究会のアンケート調査でも、長いマスク着用生活で起こったトラブルについて聞くと、「トラブルは起こっていない」(44.5%)という回答が多かったものの、「口臭が気になるようになった」(24.4%)、「口の渇きが気になるようになった」(22.9%)といった回答も少なからず挙げられている。この結果に対して槻木教授は、

「生活者の皆さんが感じている口臭も口渇も、唾液の減少が原因と考えられます。唾液の減少は病原体の入り口ともなる口の健康状態を悪くし、感染症にもかかりやすくしてしまいますので、少しでも何か違和感を抱えている人はすぐに改善すべきです。感染症対策がまだまだ必要な今こそ、口の状態や抗菌機能を持つ唾液への意識を高く持っていただくとともに、かかりつけ歯科医院への定期的な受診も心がけていただきたいですね」

 とアドバイスする。

■IgAを増加させる食物繊維とヨーグルト

 感染症予防対策にはマスクを着用した上で唾液力を高めることも重要であることがよく分かった。それでは、唾液力を高めるためにはどうしたらいいのか、槻木教授に聞いてみた。

 すると、マスクを外すことが増えている夏場の今なら食事によって唾液の質を改善することもできるのだという。特に水溶性食物繊維が豊富な納豆やもずく、めかぶ、抗酸化物質が豊富な水出し緑茶がおススメだが、これらに加えて槻木教授が推奨するのが腸内細菌のバランスを整える食品として知られるヨーグルト、中でもR-1乳酸菌を使用したヨーグルトだ。

「私たちの研究でR-1乳酸菌が入ったヨーグルトを1日112g3カ月間食べたところ、唾液中のIgAの分泌速度と濃度が増加したことが分かりました。これは注目に値する結果だといえるでしょうね」(槻木教授)

 新型コロナウイルスとの戦いはこれからもまだまだ続く。コロナ対策というとマスクの着用や手洗い、消毒など外側の対策に意識が向きがちだ。もちろんそれはそれで大切だが、自分自身の免疫力・唾液力を高めるなど体の内側からのセルフケアも忘れないようにしたいものだ。

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