軽度認知障害の時期に対策を講じれば、健康な状態に戻れる
認知症で最も多くを占めるアルツハイマー型認知症。治す薬が現段階では登場していないことから「早期診断に意味がない」と思う方がいるかもしれません。
しかしアルツハイマー型認知症は、症状の進行が非常にゆっくり。早期に見つけ、対策を講じることで、自活した生活を長く送ることができます。
もっといいのは、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)やMCIよりも前の無症状の段階で、「脳を活性化させる生活」を送ること。
MCIの時期に何もせずに過ごすと、1年で10%、4年で40%が認知症に移行するという報告もあります。一方で、MCIの時に対策を講じれば、健康な状態に戻れるという報告もあります。
誤解してほしくない点なので、強調して伝えておきたいのですが、認知症になったからといって、「人生終わり」ではありません。これは、ぜひ念頭においていただきたい。
そのうえで、「脳を活性化させる生活」というのは、運動したり、食事内容に気を配ったり、人と交流したり、新しいことにチャレンジしたり……といった生活であり、さらには人生を豊かにする生活なのです。
人生100年時代を存分に楽しんだ結果、認知機能の低下も抑制できたーー。そんな気持ちで、生活改善に取り組んでもらえれば、と思っています。