「認知機能の低下」とは具体的にどんな能力が低下するのか?
認知症について書かれたものを読んでいると、「認知機能の低下」「認知機能の障害」という言葉が頻繁に出てくることでしょう。本連載でも毎回と言っていいほど登場しています。では、そもそも具体的にどういうことを指すのか?「記憶力が落ちる」くらいはすぐに出てくるかもしれませんが、それ以外はなかなか思い浮かばないかもしれません。
認知症の症状は大きく中核症状と、行動心理症状に分類されます。中核症状は認知機能障害のこと。行動心理症状は「BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」とも呼ばれます。
認知機能障害(中核症状)で主となるのは、記憶障害です。アルツハイマー型認知症では必ずと言っていいほど記憶障害がみられ、その前段階であるMCI(軽度認知障害)からすでにあり、アルツハイマーの進行に伴い記憶障害がひどくなっていきます。
記憶には、言葉やイメージで表せる「陳述記憶」と、言葉やイメージでは再生されない「非陳述記憶」があります。例えば、包丁でタマネギをみじん切りしたり、自転車に乗ったりといった技術が非陳述記憶になります。