肩が痛いのに医師から「とりあえず様子見で」と言われたら…
先週紹介した上腕二頭筋腱損傷。この病気は肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)や腱板断裂と症状は似ています。ある方向に腕を動かすことで痛みが生じる、夜間痛があるなどです。
上腕二頭筋腱損傷を持つ方は特に「痛くない反対の肩に手を置きにくい」「駐車場に入場する際に運転席から駐車券を取るのがつらい」「ポケットに手を入れにくい」などと訴えます。
MRIなど画像検査だけでは診断がつきにくい。というのも、画像検査で炎症所見は見られるのですが、腱板断裂のように腱断裂まではいっていないからです。
2011年、奈良の橋内智尚先生という整形外科医が、国際雑誌JSESに次のようなことを報告されました。
それは、超音波下で少量の局所麻酔剤を上腕二頭筋腱に注射し、痛みが軽快する場合は上腕二頭筋腱損傷の可能性が非常に高いということ。かつ、この注射は、診断が治療に結びつく。もし痛みが軽快しなければ、別の病気の可能性を考え、さらなる手を講じます。
重要なのは、肩の痛みという訴えがあった場合、考えられる病気の一つとして上腕二頭筋腱損傷を医師が思い浮かべられるかどうか。積極的に超音波下で局所麻酔剤の注射まで行えるかどうか。画像診断で異常なしだからと何の治療も行わなければ、痛みは鎮まりません。
肩が痛いのに「とりあえず様子見で」と言われたら、「上腕二頭筋腱損傷という病気があると聞いたんですけど……」「局所麻酔剤で痛みが消える場合もあるらしいんですが……」など、主治医に投げかけてみるのもいいかもしれないです。