過労死を防ぐためには「動脈硬化」の検査を一度は受けたい…1カ月45時間超の残業で発症率アップ
動脈硬化の場所と程度を把握するためには、画像診断検査が必要になる。そのひとつが「頚動脈エコー検査」だ。
「首を通る頚動脈に超音波を当て、超音波が反射した波の画像から動脈硬化の程度を調べる検査です。頚動脈壁(内膜・中膜など)の構造や血流の状態がわかります。動脈硬化プラークの状態や血管の詰まり具合、血栓の有無も観察できます。頚動脈硬化の程度は脳動脈だけでなく全身の動脈硬化の指標になります」
ほかに「全身のCT検査」も有効だという。
「これで、大動脈や末梢動脈、冠動脈の石灰化が分かります。胸部大動脈の石灰化が強かったり、冠動脈や頚動脈に石灰化があれば、虚血性心疾患や脳卒中のリスクが高いといえます。次の段階では、心臓超音波検査、心筋血流シンチグラフィーや運動負荷心電図検査といった冠動脈血流や心機能の評価を行う検査が行われます。また、直接的に冠動脈病変を調べるには、冠動脈造影CT検査が役立ちます。静脈から造影剤を注射投与し、心電図と同期させながらCT撮影を行う画像検査で、冠動脈の狭窄部位や狭窄度がかなり正確にわかります。ただ、造影剤を使用する検査なので、薬剤アレルギーがあったり、腎機能が低下している患者さんにはリスクがあります。脳内の血管は造影なしのMRAで安全に調べられます」