薬が飲み込みづらい…それは「錠剤嚥下障害」だ 専門家が警鐘
「薬の錠剤は砕くと強烈な苦みやにおいが出現することがあります。味やにおいをマスクしているフィルムが壊されるからです。寝る前に飲んだら口の中が苦くて眠れませんし、拒食にもつながります。小児では『ミルクやお粥など主食に薬を混ぜて飲ませてはいけない』は周知されているのですが……」
錠剤の形態には「素錠」「多層錠」「糖衣錠」「内核錠」「フィルムコーティング錠」があり、また有効成分の放出を遅らせる「徐放性製剤」がある。それらは全て有効成分をどう吸収させたいか、どこに吸収させたいかなど、理由が必ずある。粉砕すれば、有効成分がいわば“丸裸”になり、薬を“その形状”にした意味がなくなってしまう。粉砕した薬の投与で起きた有害事象(呼吸状態悪化、意識レベル低下など)も報告されている。
「錠剤の薬は単なる粒に見えますが、すごい秘密がある。薬の粉砕は非常に危険。百害あって一利なしです」
錠剤嚥下障害、または“障害”までいかなくてものみ込みにくさを感じている場合、冒頭で触れた通り、速やかに薬剤師へ相談すべきだ。服用回数が多ければ「1日1回の薬への変更」、服用錠剤が多ければ「外用剤への変更」「唾液で溶けやすい口腔内崩壊錠への変更」「複数の薬が1つになった配合薬への変更」など対応策は複数ある。