子供の病気かと思ったら…「大人の中耳炎」には背後に深刻な病気が隠れている危険が

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 30代の女性は、風邪をひいて鼻水の症状が長引いたものの徐々に軽快。その後、耳閉感と聞こえの悪さで耳鼻咽喉科を受診した。鼓膜の状態から滲出性中耳炎と診断され、さらに鼻腔内を内視鏡で見ると副鼻腔炎を起こしていたため、服薬治療を開始した。

「滲出性中耳炎の治療は、抗生物質や粘膜正常化剤などを用いて耳や鼻の粘膜の働きを改善させます。なかなか症状が改善しない場合には、鼓膜を切開し、中にたまった滲出液を抜く治療も行いますが、何度も再発する患者さんが少なくありません。繰り返すようであれば、鼓膜にチューブを挿入して滲出液がたまらないような手術も行っています」

■上咽頭がんが見つかるケースも

 大人の滲出性中耳炎の場合、見逃してはいけないのが「上咽頭がん」だ。上咽頭とは鼻の奥にある壁で、ここに腫瘍ができると耳管の入り口を塞ぎ、滲出液がたまりやすくなって滲出性中耳炎が起こりやすくなる。

「私が総合病院に勤務していた際に診た60代の男性は、耳閉感で来院されました。滲出性中耳炎と診断しましたが、問診で最近鼻血が出るというので上咽頭を見るために鼻からファイバースコープを挿入して確認したところ、上咽頭がんが見つかりました。がんの治療を行いながら、鼓膜を切開してたまった水を抜き、鼓膜に細いチューブを挿入して換気を行う滲出性中耳炎の治療を並行した結果、耳閉感の症状は改善されました」

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