2型糖尿病なら注目したい 慢性腎症リスクを低下させる飲み薬
辛院長がこの薬をインスリン注射している50代男性に投与したところ、腎機能を表す血清クレアチニン(CR)値が低下し、尿タンパクが減少したという。
「糖尿病腎症の検査には尿検査と血液検査があります。尿検査では尿にタンパク質や血液が混ざっていないかを調べます。また、尿中のアルブミン(タンパク質)の排出量を調べることで、糸球体のろ過機能がどの程度低下しているかを調べることができます。この男性は、以前から顕性尿タンパク陽性で、減塩を中心にした食事療法でコントロールしていました。しかし、腎機能が徐々に悪化し、CR値(正常値‥男性1.2㎎/デシリットル以下、女性同1.0以下)が2.26、eGFR(推算糸球体ろ過量、正常値‥60ミリリットル/分/1.73㎡以上)25.7まで悪化しました。そこでこの薬を処方したところ、3カ月後にはCR値2.06、eGFR28.5と腎機能の改善がみられました。また、尿蛋白/Cr比(正常は0.15g/gCr未満)も1.05から0.85まで回復したのです」
■透析を回避する可能性も