関心高まる「美容医療」~トラブルから身を守る(4)クマ取り治療は価格に惑わされない
実年齢よりも老けて見える。疲れている印象を与える──。“見た目年齢”を大きく左右する目の下のクマで悩んでいる人も多いのではないか。これまでクマ取りといえば下まつげに沿って皮膚を切開し行う方法が主流だったが、近年、主流になりつつあるのが「切らないクマ取り治療」だ。日本医科大学付属病院美容外科・美容後遺症外来の朝日林太郎氏に聞いた。
切らないクマ治療にもいくつか種類がある。クマの原因になっている眼窩脂肪を、膨らんでいる下の部分へ移動して下瞼の凹凸を改善する「裏ハムラ法」や、余分な脂肪を取り除く「経結膜脱脂法」などである。
「どちらも下瞼の裏側を切開するので従来法と比較して傷口が目立たないメリットがあり、多くの患者さんが施術を受けています。ただ、まれではありますが、経結膜脱脂法で脂肪を取り過ぎてしまうと、大きくへこみが生じてしまったり、下瞼が外反して日頃から常に“あっかんべー”の状態になったり、逆に内反して逆さまつげの状態を起こすリスクがあります」
ある32歳の女性は、20代の頃から目の下のクマに悩み、約1年前に都内の美容クリニックで経結膜脱脂法を受けた。ただ、術中に左下瞼の皮膚が損傷したため、傷の部分を縫い縮めて手術は終了。術後3カ月に縫い目の部分が硬くなって、瞼が閉じづらいと美容後遺症外来を受診。診察で瞼が外側にめくれ、目の結膜が露出する「眼瞼外反」を起こしていると分かり、右下瞼から皮膚移植を行った。