膝痛とオサラバ!治療最前線(3)我慢するうちにちょっとした痛みでも強い痛みとして捉えるように
痛みには、侵害受容性疼痛(とうつう)、神経障害性疼痛、心因性疼痛があり、それらが複雑に絡み合っている。変形性膝関節症の場合、骨棘(こつきょく)が生じ、大きくなっていく過程で半月板が引っ張られ損傷。それによって軟骨へ衝撃がダイレクトに伝わるようになり、軟骨が摩耗。骨同士がぶつかって炎症が生じ、侵害受容器が活性化し、その信号が脊髄を通って脳に送られ、侵害受容性疼痛が引き起こされる。
一方で、何らかの原因で神経が障害され、異常な興奮をすることで生じるのが神経障害性疼痛だ。痛みの繰り返しでうつ状態になり、痛みが増幅する心因性疼痛が生じていることも考えられる。
「MRIの結果では変形がごく軽いのに強い痛みがある人、人工膝関節置換術という手術を受けても痛みが続く人などは、痛みのシステムが変化している可能性もあるのです」
変形性膝関節症の保存治療には、日本では消炎鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬=NSAIDs)がよく用いられるが、神経障害性疼痛には適していない。神経障害性疼痛では過敏となった神経を正常に戻さなければならないので、別の種類の鎮痛剤を用いる。