「二次反応」という名の消えないノイズで頭が効率的に回らない
結局、感情不全をこじらせた人ほど、そんな状況を一番救える方法は、人による傾聴・共感であり、特に親のそれに勝るものはないのです。どんな年齢の子どもであっても、親が子どもたちの言葉に耳を傾けて話を聞き、一次感情にただ共感をしているだけで、子どもたちのさび付いた一次感情を再活性させるべく感じさせていくことは、時間はかかりますが可能なのです。
その結果、病的に膨らんだ思考や価値観、感情、問題行動や心身の不調を含む二次的反応がその存在意義を失えれば、それらは勝手に消え、自然と前向きな気持がよみがえり、「自分らしさを大切にしたい」「そんな生き方を目指すには何をすればよいのか」と、現実と未来に目がいくようになっていくのです。(つづく)
▽最上悠(もがみ・ゆう) 精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。