「ギャンブル依存症」体験記(2)見知らぬ人と麻雀を打つようになったのが入り口だった
当時は町じゅうに雀荘があって、違法行為という意識もありませんでした。初めは1000点50円のレートで、負けてもひと晩1万円くらいのかわいいものでした。
編プロの若き女社長、なんていうとカッコよく聞こえますが、実際は事務所の家賃や社員たちの給料を毎月きちんと払うために、毎日必死で働いていました。契約ライターがいるといっても、アシスタントの給料や事務所維持費の大半は、私の原稿料で賄っていました。経営能力がまるでなかったので苦しかったですね。
プライベートでも、当時、付き合っていたのが私に借金を押しつけて逃げるような男でね。それもストレスになりました。そんな男でも「私だったら何とかやっていける!」なんて、当時は根拠のない自信を持っていたんですよ。
そんなふうに実生活はダメダメで、フラストレーションを抱え八方塞がり……。そのストレスが麻雀に向かいました。雀卓を囲んでいるときは忘れられる。口をきかず、何時間も楽しめる。言葉を交わさず、その場限りで終わりの関係、というのも煩わしくなくてよかったんです。
麻雀って性格が出るから人間観察としても楽しかったし、もちろん、役満のように夢みたいな手で上がると快感で……。面白いことがたくさんありました。 =つづく
(構成=中野裕子)