長生きしたけりゃ最後は噛む力(2)咀嚼力アップで認知症状が改善
金沢次期理事長によると、大脳皮質の面積の4割が歯・顎・唇・舌といった咬合咀嚼機能に関係しており、噛むことは脳に刺激を与え、意欲を引き出すことにつながるそうです。
実際、MRIや脳波の測定などの実験では、噛むと脳血流が増加し、脳が活性化することが証明されています。さらに、嗅覚や味覚、触覚といった感覚をつかさどる脳の領域が活発に動くことも確認され、特に高齢者では思考、学習など高度な働きをする前頭前野、記憶をつかさどる海馬が活性化されることもわかってきたのです(東京都健康長寿医療センター研究所など複数の研究)。
認知症は歯周病とも関係があるといわれています。国立長寿医療研究センターの調査によると、慢性歯周炎のある人には明らかな認知機能の低下が見られるということです。
認知症の中でもっとも多いアルツハイマー病は脳にアミロイドβが蓄積されることが原因と言われています。歯周病菌はこのアミロイドβの蓄積を促進するのではないかとも考えられているのです。2013年には米国の医学専門誌(「JAD」)で、アルツハイマー病の患者の脳から歯周病菌が検出されたと発表され、話題になりました。現在も各国で歯周病菌とアルツハイマー病の関係を示す研究が行われています。