足の親指を上に反らすと痛むのは病気のサインでしょうか?
「足の親指の付け根が痛くて歩けないんです。就職活動中で毎日パンプスを履かなくてはならず、ここ最近は靴に足を入れた瞬間からひどく痛むし、赤く腫れていて……」
そう話すのは、都内の大学に通う20代前半の女性。就職活動のため連日パンプスを履いていたところ、足の親指の付け根が痛くなったと当院を受診され、問診とエックス線画像から「強剛母趾」と診断されました。
強剛母趾は、歩行などで、足の親指の付け根にある第1関節(MTP関節)を上に反らした際に、そこが強く痛むのが特徴で、変形性関節症のひとつです。
MTP関節は中足骨と基節骨で構成され、関節の表面を覆う軟骨によりスムーズな関節活動が行われています。加齢や足に合わない靴の着用で足裏のアーチが崩れて低くなると、足のかかと側にある中足骨が前方へ押し出され、歩くたびに骨同士が当たり続けて軟骨関節が擦り減ります。むき出しになった骨の部位に炎症が起こると、足に痛みが生じるのです。
指が反り返りやすいパンプスやヒールの着用、踏み返し動作が多いランナーの人に見られやすい。ただ、足の親指が痛み足が内側に大きく変形する外反母趾と違って、強剛母趾の場合、関節の中で変形が起こるため見た目からは判断できません。そのため痛みの部位から痛風と勘違いして内科を受診されている方も少なくありません。痛みを抱えたまま歩き続けると、踏み返し動作ができないうえに、痛みをかばうような歩き方になって体の他の部位に支障を来す恐れがあります。