水際で患者の命を救う「救急隊」のレベルは確実に向上している
当連載では、これまで「救急救命」について何度も取り上げてきました。ある日突然、重大な病気や事故に見舞われたとき、患者さんの命を救う大きな役割を担っているのが救急隊員で、彼らなくして救急救命医療は成り立ちません。
昨年10月、中国の首相を務めた李克強氏が心臓発作を起こして搬送先の病院で亡くなりました。68歳でした。宿泊していた高級ホテルのプールで泳いでいたときに発作を起こし、急性心筋梗塞で死去したと報じられています。
このケースと同じように、ゴルフ仲間の夫人がテニスをプレーした後に気分が悪くなってそのまま帰宅したところ、いつもとは違う異変を察知した医師である夫がすぐに救急車を呼びました。夫は、自分がかつて勤務していた病院が自宅から1時間くらいのところにあるのでそこへの搬送を希望しました。しかし、夫人の心電図を測定した救急隊から、「急性心筋梗塞が強く疑われます。迅速な処置が必要なので、近くにある救急対応ができる病院へ搬送します」と、15分ほどで到着できる病院を勧められたそうです。結局その病院に搬送となり、すぐに緊急のカテーテル治療が行われて夫人は命を取り留めました。