著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大阪国際がんセンターでミス発覚…診断や治療に疑念あればカルテ開示を

公開日: 更新日:

 大阪国際がんセンターで重大なミスが明らかになり、問題視されています。昨年5月に頭頚部外科を受診した50代の女性患者に咽頭がん食道がんが見つかり、6~8月にまず咽頭がんを治療。その後、食道がんの治療をするため、消化管内科に引き継ぐ必要がありましたが、頭頚部外科の担当医が消化管内科への連絡を忘れていたというのです。

 今年1月、調査研究でカルテを調べた際、この患者の食道がんが未治療であることが判明。3月に手術を行ったといいます。当初、早期だった食道がんは昨年9月に手術するはずでしたが、半年の治療の遅れでかなり進行していたそうです。

 あってはならないミスですが、類似のミスは時々起きています。今年4月には名古屋大病院で担当医がCT検査の報告書を見落とし、肺がんの診断が3年も遅れたことを発表。この患者は見落としから6年後に亡くなっています。名大病院は16年以降、同様のミスによる死亡例を6件公表しました。ほかにも慈恵医大病院や千葉大病院などでも同じようなミスが報じられています。

 明らかに病院側のミスですが、患者側に防ぐ手だてがないわけではありません。がんで診察や検査を受けたら、診断書や画像データ、治療方針をまとめたリポートなどをもらっておくこと。日本では、そうした情報の提供を拒否する医師も一部にいるようですが、医療情報は患者自身のものですから、患者が画像データなどを求めるのは当然です。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…