配食サービスはもろ刃の剣? 頼りきる前に考えるべきこと
高齢者世帯への配食サービスは、買い物や調理が困難、ひとり暮らしなどのケースで利用されることが多い。介護保険の適用外ではあるものの、街の弁当店並みの費用で必要な分のみ家まで配達してくれる。配達が見守りや安否確認につながることから補助金を出している市区町村もあり、在宅高齢者福祉の一環として広く認知されている。
普通食はもちろん、糖尿病や高血圧など生活習慣病に対応したメニューがあり、週に3回など利用回数も自由に選べるので、親の介護問題を考えたことのある方なら、一度は利用を検討したことがあるだろう。筆者も実母や義父がひとり暮らしになった時、この便利な制度を使わない手はないと、1週間のお試しで昼と夕の2食分を申し込んだ。
その初日、ふたりの感想は「おいしかった」「全部食べたよ」と好評だった。よし、しばらくはこれで心配事が減ると思った。が、3日後に感想を言わなくなり、5日目には「もう頼まなくていい」と言い出した。何が気に入らなかったのか?
聞くと、プラスチックの容器に入ったいかにも弁当な見た目。配達時にすでに冷めている。副菜の味付けが全部同じ。食べつけない揚げ物が多い。ご飯の食感が気に入らない。直前に電子レンジで容器ごと温めると、ご飯もおかずも主菜も副菜も全て同じ温度になるのが味気ない。次から次に文句が出て、「お金の無駄」「自分の好きなものを食べたい」と不満をぶつけられた。