(4)新型コロナ以外の国内治験も進みmRNAワクチンが発展する
しかしmRNAワクチンの技術は、新型コロナのみに有効というわけではありません。国内外のメーカーが、別の感染症に対するmRNAワクチンの開発に挑んでいます。
なかには日本国内で治験が進んでいるワクチンもあります。代表的なものは季節性インフルエンザです。新型コロナと抱き合わせて、1回の注射で済むようにしたものが、治験の第Ⅲ相まで進んでいます。ほかにもノロウイルス、サイトメガロウイルス、RSウイルスをターゲットとしたmRNAワクチンの治験が行われています(いずれも第Ⅲ相)。また海外ではHIVに対するワクチンの開発も進められています。
ノロウイルスは冬の食中毒(胃腸炎)を引き起こすことで知られています。変異が速く、ワクチン開発は無理と言われていただけに、もし成功すれば受験生をはじめ多くの人が恩恵を受けるでしょう。RSウイルスは子供の風邪ウイルスの一種ですが、大人や高齢者にもうつることがあり、体力や免疫力が落ちていると重症化するケースがあります。
これらの新しいワクチンの治験は、早いものでは2025年中、遅いものでも2027年中に終了し、国の審査を経て、上市されてくるはずです。さらにその後も、新しいmRNAワクチンが続々と開発されてくることでしょう。ワクチン新時代の幕開けです。(つづく)