早期の「乳がん」治療で新たな選択肢 乳房を切らないラジオ波焼灼療法が23年末から保険適用で実施
「手術には乳房の一部を切除する温存療法と、全摘術があります。温存療法は一部ではあっても切除は切除なので、乳房が変形したり傷が残る可能性があります。全摘術は、術後の乳房再建が保険適用となって以来、件数が増えていますが、『乳房を切らなくて済むのなら』といった患者さんが少なからずいます」
そういったニーズに応えるのがラジオ波焼灼療法になる。心身への負担が小さくても、がんの取り残しがあれば問題外だ。乳がんへのラジオ波焼灼療法は当初“切らない治療”として注目を集め、自由診療で行われていたが、再発・転移のケースが報告された。そこで適正使用と保険適用を目的に、2013年から臨床試験(RAFAELO試験)が開始された。
その前年に発表された全国8施設の多施設共同研究、39例の結果では再発率10%。「乳癌診療ガイドライン治療編2011年版」では、エビデンスが不十分であることから推奨グレードC(実践することは基本的には勧められない)だったが、RAFAELO試験がこれを変えた。
13年8月から17年11月までに9施設で372例が集まり、22年、5年間のデータが全て集まってから解析。乳房温存手術と同等の根治性があり、高い整容性を保てることが確認され、23年に保険適用に至った。