お腹を切らずに治す大腸がんの内視鏡治療「ESD」…第一人者が解説
「EMRは施術時間が短く傷も小さい、非常に低侵襲な治療です。今の内視鏡は精度が高いため、1センチ以下のがんも見つけられ、そういった小さいがんにはEMRが最適な場合もあります。しかし、EMRには、大きながんになると一度に切除できず、分割して取らなくてはならないという欠点がある。すると取り残したり再発するリスクがある。このEMRの欠点をカバーする治療として開発されたのが、ESDです」(大圃医師=以下同)
■病変が浅ければ適応
ESDでは、高周波ナイフを用いる。がんの下の粘膜下層へ生理食塩水などを注入してがんを浮かび上がらせるところまではEMRと同様。その後、内視鏡の先の高周波ナイフで粘膜と病巣をはぎ取るようにがんを切除する。
「EMRもESDも内視鏡でがんを一括切除するという目標は同じです。ざっくり言えば、EMRで安全に一括切除できるならEMRで十分、EMRでは切除しきれない大きいがんではESDが適応となります」
臓器によって多少異なるが、基本的には病変が浅く、粘膜や粘膜下層のごく浅い部分にとどまるものが内視鏡治療の適応。がんがリンパ節転移をきたす可能性がある場合は原則適応外となる。それが理論的な内視鏡治療の適応ということである。