教諭体制は日本一も…“国公立の雄”筑波大付属小の落とし穴
他の教科も同様に、授業にさまざまな工夫が盛り込まれているという。最高級の授業を受けられるという意味でも、筑附小に入学することは前述の通り、プラチナカードをゲットするようなものなのだ。しかし、そこには落とし穴もある。筑附中への内部進学の際、選抜試験があり、2割近くの生徒がエスカレーター式だと思っていたコースから振り落とされるのである。
「私の親友だった同級生も、それほど成績が悪かったわけでもないのに、筑附中へ進めなかったんです。区立の中学に入った彼はグレてしまい、次第に疎遠になってしまった。その後、よからぬ噂も耳にしました。こうして内部進学できず、人生を踏み外すケースは少なくないと聞きます」(OB)
その結果、エスカレーターコースに残るのは優等生タイプばかり。「誰もが内部進学を求めるあまり、たくましさに欠ける生徒が目立ち、小粒感は否めない」と筑附小関係者は嘆く。
過去には鳩山一郎、宮澤喜一、福田康夫(中退)と3人の首相を輩出。財界でも元鹿島建設会長の石川六郎、元三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)頭取の畔柳信雄をはじめ、重鎮が出身者にずらっと並ぶ。だが、近年はこうした大物はほとんどいなくなってしまった。多様性を生み出しにくい現在の体制が続けば、名門校の地位も危うい。(敬称略)