“ホリエモン騒動”から1年、広島・尾道の餃子店は今…店主に聞いた

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川端眞一さん(48歳/「四一餃子」店主)

 昨年9月、広島県尾道市の餃子専門店と堀江貴文氏とがマスク着用をめぐってトラブルになり、その結果、同店には堀江氏に同調する人たちのクレームが殺到。ついには休業に追い込まれてしまった。それから1年余り。店はどうなっているのか……?

■「妻は今も対人恐怖症が続いています」

「四一餃子」があるのは広島県尾道市の商店街。取材を申し込むと、店主の川端眞一さんが現状をこう説明してくれた。

「事件から1年余りたちますが、妻は依然として対人恐怖症が続いており、古くからの友人や常連のお客さまであっても、会うと動悸や全身の震えが止まらなくなるんです。ましてや記者さんのように見ず知らずとなると、気配がするだけで変調をきたします。なので、福山市内に8月1日にオープンした無人店舗・福山春日支店でお願いします」

 支店は、山陽自動車道・福山東ICから約5分の県道坪生福山線沿い。約2坪の店内には2台の冷凍ショーケースが置かれ、一般的な餃子の他、「しそ」「しょうが」「ニラたっぷりニンニク」の4種類を1パック税込み1000円で販売している。

「まずご入店時のマスク着用と備え付けのアルコール消毒をお願いしています。そして餃子を選び、料金投入口から現金を入れるかPayPayでお支払い。特製のタレやラー油、保冷バッグは別売りです」

 新型コロナ感染防止のため入店は1人(組)のみ。先客がいたら店外で待つルールだ。

 未払いで持ち帰る不届き者はいないのか?

「同様に無人販売している尾道本店(営業9~22時)もですが、開店以来、まだ一度も万引はありません。広島人は正直なんですよ」

 ミシュランガイド広島・愛媛2018に掲載された実力派。24時間営業なのも好評だ。

「店内のモニターテレビで、餃子を上手に焼くコツの動画を流しています。ご参考にされると、よりおいしく味わえますよ」

騒動後に無言や嫌がらせ電話、ビデオを持ったユーチューバーも

 さて、騒動の経緯を振り返ろう。堀江氏と秘書を含めた3人が本店を訪れたのは昨年9月22日12時50分すぎ。

「当時、席数を減らしながらお客さまを迎え入れ営業中でした。僕は厨房で餃子を焼き、妻が接客。防犯カメラで全て録画してあります」

 店頭に「マスク着用」を要請する注意書きを掲示していたが、堀江氏以外の2人はノーマスクで入店。川端さんの奥さんがマスク着用をお願いすると、堀江氏の反論が始まった。

「僕はかつて株式投資をしていたことがあり、若手経営者の堀江さんを高く評価してライブドア株を保有した時期もあるんです。それで、来店してくれたことに気づき、うれしくてつい『堀江さん?』と言ってしまいました」

 ところが、個人名を出された堀江氏が激怒。押し問答となり、ついには「面倒くさい。帰れ!」と川端さん。堀江氏はSNSで告発し、騒動が大きくなった。

「夕方から無言、嫌がらせの電話が続き、翌日からは人相のよくない人やビデオカメラを持ったユーチューバーが周辺をうろつきだしたんです。妻は恐怖し、小3の娘と共に実家へ避難。2日後、休業に追い込まれました」

 その後、匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者のひろゆき氏の助言で通信販売に特化することに。必要経費捻出のため、目標額300万円のクラウドファンディングを募ったところ、2カ月弱で1545万5165円もの善意が寄せられた。

「おかげさまで設備を買い増しすることができて、今年1月末から返礼品を発送、2月末から通販開始。そして3月19日に本店の無人販売をスタートさせました」

 休業以来、寄せられた励ましや応援の手紙は100通以上。本店に置かれた店ノートには毎日、好意的なコメントが並ぶ。

「これらを見て、妻も明るさを取り戻しつつあります。引き続き通信販売をしていきますし、いずれ対面での飲食店を復活させたい」

 川端さんには自身の意思とは関係なく筋肉が収縮する難病・ジストニア(痙性斜頚)に苦しめられ、家族で乗り越えた過去がある。きっと、この件も親子3人で克服するだろう。

 なお、堀江氏の秘書に、事件の経緯や現在の心境、今後どのように対応するのか? など8項目の質問をメールしたが期日までに回答はなかった。 

(取材・文=高鍬真之)

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