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姫田小夏ジャーナリスト

中国・アジアを身近に捉える取材に取り組む。中国ウオッチは25年超、中国滞在経験も長い。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観 」(集広舎)。

飛騨高山は「舞台あれど役者おらず」…朝市の出店者は歯抜け、地元の祭り継続も手探り状態

公開日: 更新日:

 高山市街地の中心を流れる宮川の南部に位置する商店街では、シャッターを下ろす店が目に付いた。

 この商店街エリアは観光コースにもなっており、コロナ前は昼夜ともに観光客で賑わっていたものだが、最近では「早々に店じまいするところも多い」(地元事業者)。

 世界から多くの観光客を集める、春と秋の高山祭も変わりつつある。特に春の祭りは、見どころとなる「山車」の引き手不足に加え、町内会への費用負担が重くのしかかることが懸案だった。コロナ前からインバウンド需要を狙う市外からの参入が続いているが、事業者数は増えて活気づいても、文化財にも指定される地元の祭りの継続は手探り状態だ。

 コロナ禍前、高山市街地は外国人観光客で大賑わいだった。その観光市場に多くの宿泊施設が参入し、コロナ直前の19年時点で高山市街地の人材争奪はすでに過熱していた。「オープンしたはいいが働き手はいない、客を案内できる部屋は全体の半数だけ」……その影響は深刻だった。

 実は当時から、インバウンドがもたらしていたのは「表面上の賑わい」であり、地元市民が恩恵を感じる状況にはなっていなかった。 (つづく)

【連載】インバウンドに翻奔される地方都市の今

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