イスラエルを明確に批判した広島県知事。同国大使の表情を被せて大写しにしたNHKの英断よ!
それに対し松井市長は「自分たちが心配すれば世の中全部思うように変えられるということではない。私はアンパイア、審判員でもないし、どこの国が正しい、悪いと言ってるわけではない」と木で鼻を括ったような回答。何だこれ。いまこの地球で起きている歴史的惨劇に対して、傍観者のスタンスをとる(とれ)と言わんばかり。これが〈国際平和文化都市〉の首長の公式発言かと目と耳を疑う。この会見内容を知っていたなら、昨夜の式の後に市長を引き留めて直接真意を問うたのに。
熱いシャワーでも洗い流せないモヤモヤを心に携えたまま、タクシーで広島平和記念資料館へ。2019年に全面改修を終えた同館をじっくり観るべくネット予約しておいたので、8時半の一般開場に先がけて7時半に入場できた。東館から本館に進み、また東館に戻る。吉永小百合の抑制の効いた語りが耳に心地よい音声ガイドの力を借りながら2時間半かけて鑑賞した。かつて同館の象徴だった原爆再現人形を配したジオラマは撤去され、いまは実物資料(遺品、被爆者が自身の体験を描いた絵、当時の写真、証言映像など)の充実に重きを置いている。
館内では個人撮影も可能だが、観終えて気づいてみれば一枚も写真を撮っていなかった。それだけ展示に引き込まれたからでもあり、撮影への躊躇がずっと払拭できなかったせいでもある。この矛盾する心のありようもまた戦争の生みだすものかもしれない。被爆国の一員として被害の実相を知ることは何より重要。だが自分たちの国がアジア太平洋諸国へ侵略と加害を重ねてきた歴史を直視することからも逃げてはならない。そう自分に言い聞かせながら退館する。酷熱の原爆ドーム前で懸命に署名運動をしている少年たちに学校名を問うた。「修道高校です」。なるほど、吉川晃司さんの後輩なんですね。