四面楚歌なのに辞任拒否…斎藤元彦兵庫県知事「逃げない理屈」を考えてみた
斎藤がその存在を知ったのが3月20日。翌日、副知事らに徹底的に調査するよう指示し、3月27日の記者会見で斎藤は告発文書を「うそ八百」と断じた。元局長が県の公益通報窓口に告発したのは、その後の4月4日である。
斎藤側に立てば、一部の者に配布された文書は「公益通報」ではなく怪文書まがいで、内容は自分を陥れるための「誹謗中傷」と捉えたとしても、100%非難されることだろうか。それに、藤原正廣弁護士に対応を相談して、文書の真実相当性についての見解を得ているのだ。
パワハラについては、百条委員会が全職員にアンケートし、そのうちの約4割の職員が「パワハラを見聞きした」と答えている。だが、その内容は、「目の前でエレベーターの扉が閉まって激怒した」「公用車が車止めで止まり20メートル歩かされただけで怒鳴り散らした」というもの。私が編集長時代、部下のヘマに激怒した上司が、「おまえのような息子を生んだ親の顔が見たい。すぐにここから親に電話しろ!」と迫ったことがあった。それと比べると可愛いものではないか。
視察先でおねだりしたものを独り占めしたことを“意地汚い”と批判されていることについても、「斎藤氏は職員と分け合った場合、『なぜ(秘書課など)特定の課の職員のみ食べられるのかという問題がある』と不公平感について言及。(中略)自身がすべて消費する方針を秘書課に伝え『ルールというか、明確化した』と述べた」(産経新聞のネット版〈9月6日18時46分〉)。山ほどもらった名産の果物やカニなどを、斎藤と妻と子供だけで“消費”するのはさぞ、きつかったのではないか。