「ちゃんと愛してもらえた?」シャワー禁止のミッションで芽生えたある感情 #3【不倫依存~婚外恋愛を謳歌する男女】

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コクハク

これまでのあらすじ

【不倫依存~婚外恋愛を謳歌する男女】

 真理子さん(仮名・32歳ホステス/独身)は、現在不倫中。お相手はクラブのお客様である亮平さん(仮名・45歳建築会社社長/妻子アリ)だ。

 細マッチョの体に洒落たスーツを着こなすセレブなイケオジタイプの彼に心酔し、亮平さんもまた真理子さんを「かけがえのない存在」と溺愛した。

 しかし、彼にはネトラレの性癖があった。最初こそ驚いたものの、真理子さんはそれが互いの愛をさらに深める行為と理解し、彼の指示で男子大学生2人と関係を持つ。

 行為後、2人を帰した真理子さんは、隣室で待つ亮平さんを訪ねて――。

 前回までの話はコチラ→第1話第2話 

湧いてきた倒錯的な罪悪感

 真理子さんは語る。

「亮平さんには『シャワーを浴びずにおいで』と言われていたので、汗まみれの体にバスローブを羽織って、廊下に誰もいないことを確認し、彼の部屋のチャイムを鳴らしました。ドアが開くまでのほんの数秒がやけに長く感じましたね。ドアが開くと、私は一目散に駆け込んだんです。

 部屋の内装は、私が使用した部屋と同じです。キングサイズのベッド1台を備えたベイビュールームで、浜離宮恩賜庭園と東京湾を見下ろす一室。ガラスのパーテーションで区切られたお洒落なバスルーム、白い大理石の洗面台、明るい縁取りの円形鏡があり、とてもスタイリッシュ。

 でも、行為後だけに鼓動は高鳴るばかり。いえ、亮平さんと2人きりになったことで、さらに昂(たかぶ)りが増しました。

 彼がこの部屋でどんな思いで待っていてくれたかと想像すると、恥ずかしさや倒錯的な罪悪感が湧いてくるんです。歪んだ愛と言われるかもしれませんが、少なからず彼の嫉妬めいた興奮が手に取るようにわかって…」

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彼らとの一部始終を話すよう命じられ

 その後、亮平さんは彼らとどのような行為をしたかを聞いてきたという。

「『2人の年下クンにはちゃんと愛してもらえた?』と聞かれました。私がうなずくと『真理子はえらいね。そんな忠実な君が好きだよ。待っている間、僕はどうしようもない嫉妬に駆られてたんだ』と言われたんです。私の体がさらに熱を帯びました。

 ベッドに横たわるように言われ、亮平さんに後ろ抱きされながら、彼らとの一部始終を話すよう命じられたんです」

 真理子さんは、記憶をたぐり寄せた。

嫉妬が愛を深めるのなら

 本当はずっと目をつむったままで、今自分に触れているのがタクミくんなのか、ジュンくんなのか定かではない。だが、髪や肌、女体に与えられた衝撃や圧迫を思い出すままに伝えた。

 そんな真理子さんの髪を優しく撫でながら、亮平さんは汗みずくの肌に顔を寄せ、鼻を鳴らした。「真理子の汗の匂い…すごくセクシーだ」と囁かれ、さらに行為を詳しく聞いてきたという。

「私は『亮平さんに喜んでほしい一心だったの。嫉妬が私たちの愛を深めるのなら、これ以上の幸せはないから』と告げて、懸命に言葉を継ぎました。

 恥ずかしかったことも、10歳以上も離れた年下男性が私を『女』としてみてくれる嬉しさも、余すことなく正直に答えたんです。徐々に亮平さんもオスになっていきましたね。最終的には亮平さんと愛し合いながら学生2人との行為の内容を話していたんです」

 真理子さんの話を聞きながら、亮平さんは悦びをあらわにしたという。いつもよりも凶暴かつエネルギッシュに営みがおこなわれた。

いくらでも彼の言いなりになろう

「シャワーを浴びることを許されなかった私は、さらに全身から汗が噴き出してすごく恥ずかしかったんです。どうしても体臭が気になってしまって…。でも、亮平さんとしては、他の男の余韻に浸りながらのほうが興奮すると言っていました。

『他の男がマーキングした真理子に、最後は僕がマーキングするのがたまらないんだ』って(笑)。不思議ですよね。こうなると、婚外恋愛していることなど、すごく些細なことに思えてくるんです。

 人から見ると『歪んだ愛』『狂った愛』『都合のいい女』と思われるかもしれませんが、私は亮平さんが満足して、今まで以上に2人の絆が深まるなら、いくらでも彼の言いなりになろうと思いました」

そばにいてくれるだけでいい

 真理子さんの健気さに「いっそう愛しさが増した」と告げた亮平さんは、その後もクラブに通って真理子さんの売り上げに貢献をした。

 ホステスにとって売り上げの高さは、ホステス自身の価値を決定づける最も重要な評価基準だ。

「亮平さんのお陰で、ナンバーワンになれたんです。チーママが辞めて、売り上げトップのベテランホステスを抜いた時には、オーナーママからもお褒めの言葉をいただけて、本当に嬉しかったです。

 亮平さんとのお付き合いもうまくいっています。元々私は、『人に喜んでいただく』『人をもてなす』ということ自体が好きなんでしょうね。

 少々、無理難題を押しつけられても、目の前にいる人が笑顔になってくれれば私も幸せな気分になる。それがネトラレの性癖を持った亮平さんとの付き合いにも反映されているのではないでしょうか。

 奥様から奪おうなんてみじんも思いません。今のところ、結婚も考えていません。亮平さんがそばにいてくれる…今はそれだけで、私の心は満たされていますから」

 そう頬を赤らめた真理子さんは、凜と咲く花のように美しかった。

(了)

(蒼井凜花/作家・コラムニスト)

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