「人は40%の力しか出していない」米軍特殊部隊“伝説の男”が説く人間のリミッターの外し方

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■苦しみをひたむきに追い求めよ

 なぜって、このルールに従えば、無意識の縛りから心を解き放ち、スポーツでも、生活でも、異次元のパフォーマンスや成績をあげて、物質的成功ではとうてい測れない、大きな見返りを手に入れられるからだ。

 40%ルールはどんなことにも使える。人生では、思い通りになることなんて1つもありはしない。君にも職場や学校、人間関係で壁にぶつかる時が来る。責任から逃れ、目標や夢をあきらめたくなり、自分の幸せなんかどうでもよくなる時が、必ず来るだろう。そんな時はすべての力を出し尽くしたように感じて、もうそれ以上頑張れなくなる。

 でも本当は、君の心や精神、魂の奥底に埋まったエネルギーの半分も使っていないんだ。

「ガス欠だ」という感覚を、俺も数え切れないほど経験してきた。「もうダメだ」と投げ出したくなる気持ちは俺も知っているよ。そしてその衝動をかき立てているのが、「楽をしたい」という心の願いだってことも知っている。

 でも、心は真実を伝えない。楽を求めて君の成長を妨げるのは、「自分はこういう人間だからできなくても仕方がない」という、君自身の思い込みなんだ。

◼️最初に感じる苦痛と疲労は「幻想」

 君の心は高みをめざして成長しようとする代わりに、現状に甘えたがる。自分にはできない、それはしょうがないことだと思い込む。

 君に必要なのは、リミッターを動かす「ソフトウェアのアップデート」だ。ただ、アップデートはそう簡単にはできないよ。20年の経験を積むには20年の年月が必要だ。40%を超える力を出すには、来る日も来る日も心を鍛えるしかない。つまり、「使命感」みたいなものを持って、苦しみをひたむきに追い求めるってことだ!

 たとえば君がボクサーだとしよう。初めてリングに立った日に、あごにパンチを食らってノックアウトされた。でも10年もボクサーを続ければ、1発じゃ倒れなくなる。全ラウンドボコボコにされても、次の日には戻ってきてまた戦える。

 敵のパンチ力が衰えたわけじゃないよ。敵はさらに強くなっている。変化は君の脳内で起きたんだ。心が鍛えられた。君が1発よりもずっと多くのパンチに耐えられることを、ソフトウェアがゆっくり学び、心と体の耐性が上がった。それが、厳しい試練に挑み続ける見返りなんだ。

 また、君がランナーで、つま先の骨が砕けたとしよう。でもそのまま走り続ければ、砕けた足でどこまででも走れるようになる。そんなの無理だと思うかい? でも本当なんだ。俺は実際にそれをやったからね。そして、自分にそれが「できる」と知っていたから、どんな苦しみにだって耐えられた。その知識が自信になって、ガス欠の時にも元気をもらえた。

 でも、60%の余力をすぐに、一気に使おうったって、そうはいかない。それを使うには、最初に感じる苦痛と疲労が、君のリミッターのつくり出した「幻想」だってことを、まず理解する必要があるんだ。

 それさえわかっていれば、頭の中のネガティブな声を黙らせて、「エネルギーはまだ枯渇していない、全力を出し切ったどころか、まだまだ余力がある」と思い出せる!

 それを認めれば、そこからさらに5%の力を絞り出して、戦い続けることができる。もちろん、簡単なことじゃないけどね。

▽デイビッド・ゴギンズ 退役海軍特殊部隊員(ネイビーシール)。米軍でシール訓練、陸軍レンジャースクール、空軍戦術航空管制官訓練を完了した、たった一人の人物である。これまでに60以上のウルトラマラソン、トライアスロン、ウルトラトライアスロンを完走し、何度もコース記録を塗り替え、トップ5の常連となっている。17時間で4,030回の懸垂を行い、ギネス世界記録を更新した。講演者としても引っ張りだこであり、全米の大企業の社員やプロスポーツチームのメンバー、数十万人の学生に、自らの人生の物語を語っている。

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