飼い主が不安になり「夜間の救急外来」受診→不要な検査で治療費がかさむリスク
■「黒いシコリ→メラノーマ」の連想
ワンちゃんの肉球の角質は硬い皮膚で、色素沈着することもあり、黒くなるのがほとんどで、ネット検索の情報をうのみにすると、「黒いシコリ→メラノーマ」という連想が働きやすいのでしょう。
治療は簡単で、硬い角質を柔らかい部分まで削り取ること。ふだんの対策は、ヒト用の尿素配合ハンドクリームを塗ると、角化亢進の予防になります。動物病院でも同様の商品が販売されていますが、かなり高額。わざわざそれを買わなくても、尿素配合ハンドクリームで十分です。
それでもガサガサしてきたら、かかりつけの獣医師にその部分を削り取ってもらえばよいでしょう。飼い主さんでもヤスリやハサミでできないことはありませんが、削り過ぎると肉球自体を傷つけてしまいます。
今回の症状は、シニア犬ならありふれたもので、ある程度経験を積んだ獣医師なら、わざわざX線検査をすることはありません。不審に思って確認すると、X線検査に導く事情も理解に苦しむものでした。