チャットワーク創業者 山本敏行氏(1)ユニコーン企業創出を目指しエンジェル投資家を育成
自分の持っている筋トレグッズやCDを掲示板に載せるとすぐに買い手がついた。
といっても、すぐにカネを受け取れるわけではない。山本氏はまだ、銀行口座を持っていなかった。高校生が口座をつくる場合、原則として親権者の承諾が求められる。そこで、親と一緒に銀行を訪れ、口座を開いた。すると、ほどなく入金があった。
「自分の口座に数字が打ち込まれているのはちょっとした感動でした。でも、それは長くは続かなかった。高校生の持ち物など、たかが知れている。すぐに売る物がなくなってしまったのです」
次に注目したのが「お仕事掲示板」だった。自分でもできる仕事がないか、探してみた。自宅でやれる仕事がいろいろ並んでいた。しかし、山本氏が自身でトライすることはなかった。
「データ入力の仕事で月3万円くらい。実は僕はずいぶん前から内職で月3万円を稼いでいた。今さら同じ額の仕事をしてもしょうがないかなと」
自分でやることはなかったものの、こうした仕事情報をこまめにストックした。これが後にカネを生み出すことになる。 (つづく)
(ジャーナリスト・田中幾太郎)