オズールジャパン 楡木祥子社長(2)中1で米国ホームステイ、高2から英国留学「自分の人生が決まった」
英国校ではチャールズ皇太子に会ったことも
高2の時、経団連が支援するユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会の派遣留学生として、英国校で2年間学ぶ。全校の75%が欧州人で、日本人は6人しかいなかった。多感な時期に、欧州人の中にどっぷり漬かった生活を送った。
「ここで、英語力が身につき、自分の人生も決まったのではないかと思います。この時の経験があるから、欧州人が大半を占めるオズール社にも違和感なく入っていけました」
当時、同校の会長はチャールズ皇太子(現・国王)が務めていて、楡木も2度会ったことがあるという。
「ヘリコプターで式典にやってきたチャールズ皇太子を、生徒たちが廊下に整列して出迎えるのです。その時、私は着物姿で迎えることになって、握手もしてもらえました」
もともと図工が得意で、ここでアートコースを選んだ楡木は、帰国後、筑波大学でインダストリアルデザインを専攻することになる。
「私がやりたかったのは、一点物のアートではなく、社会と接点のあるアートでした」
インダストリアルデザインを学ぶうちに、医療系のデザインに関わりたいと思うようになった。
「今なら、福祉工学とか医療福祉といった学部もあるようですが、当時はそのような学部を持つ大学院は見当たりませんでした」
教授に相談すると、「車いすのデザインでもする?」と言われた。しかし、車いすというのもちょっと違うなと思った。何をやりたいのかが自分でもつかむことができず、いったん就職することにした。(つづく)
(ジャーナリスト・林美保子)