裏金事件で聴取 松野前長官「帳簿見たことない」は「政治とカネ」渦中の人物の常套句だった?
■「ロッキード事件」では中曽根康弘氏が同じ発言
SNS上では松野氏の発言の信ぴょう性を疑う投稿が少なくないが、「通帳を見たことがない」という言葉は「ロッキード事件」をめぐる過去の国会質疑でも出ていた。
1977年4月13日の衆院「ロッキード問題の調査特別委員会」で、発言が飛びだした経緯はこうだ。
木造住宅大手「殖産住宅相互」(現・殖産住宅)を創業した故・東郷民安氏が1973年、株式上場を巡る脱税で東京地検特捜部に逮捕、起訴され(殖産住宅事件)、その裁判で、東郷氏は中曽根康弘元総理の秘書の口座に5億円の金を振り込んだことを暴露。この真偽やカネの意味を問われた中曽根氏は特別委員会に証人として出席し、こういった発言をしていた。
「貯金通帳も見なければ印鑑ももちろん見ない、そういうことであったと(秘書)からも当時聞いておったところでございます」
今回の裏金事件とは発言に至った状況や経緯が異なるとはいえ、「政治とカネ」を巡る疑惑では「見ざる、言わざる、聞かざる」が政治家の常套句となっているようだ。