著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

オイシックス・ラ・大地(上)藤田和芳会長が「放射能汚染水」投稿で辞任の波紋

公開日: 更新日:

上智大では新聞部主幹、大学当局を糾弾

 1947年、岩手県生まれの団塊の世代。上智大学法学部に入学したが、多くの大学が紛争の嵐の中にあり、上智でも全共闘の学生によるバリケード封鎖という時期があった。藤田氏は新聞部に入り、2年で主幹。学生の立場に立って大学当局を糾弾したため、大学側の強い反撃に遭い、新聞は廃刊に追い込まれた。70年卒業後は建築系の出版社に勤務した。

 75年8月、学生運動指導者の故・藤本敏夫氏とともに、有機農産物の普及を目指す団体、大地を守る市民の会を立ち上げた。77年に同団体を株式会社に改組し、大地を守る会と名付け、社長に就任。

 大地を守る会は単独で株式公開を目指していたが、2016年12月、オイシックスとの経営統合を発表。統合を選択した理由について藤田氏は「大地を守る会はカタログ販売、オイシックスはEC(ネット通販)。大地はネット化で数年遅れている」ことを挙げた。

 統合して発足した新会社(のちのオイシックス・ラ・大地)は、オイシックス出身の息子ほど年が離れている高島宏平氏を社長にした。持ち株比率に大きな差があったからで、高島氏が12.75%で筆頭株主、藤田氏は2.72%で7位株主(23年9月末時点)だった。

 藤田氏は会長に就任したものの経営の最前線からは外れた。さらに、「放射能汚染水」投稿で会長の座も追われた。

 見方を変えてみよう。藤田氏は経営者のマスクを捨て、若き日の反権力の素顔に戻り、社会活動家として再出発できるのだから悔いはないだろう。 =つづく

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…