資生堂(下)コロナ禍で業績悪化し経営トップ交代…藤原憲太郎社長は「伝家の宝刀」も抜いた
福原義春が23年8月30日、老衰のため死去
藤原は海外部門が長く、18年からは中国地域最高経営責任者(CEO)として中国事業を率いてきた。グローバルでの経験を生かし、主力の日本事業を強化する。
だが、海外の営業の大きな柱である中国事業は低空飛行のままだ。
23年8月下旬に東京電力福島原子力発電所の処理水が海洋に放出されて以降、中国では日本の化粧品の不買運動が起こった。期待した日本事業も、実は中国人客が需要の大半を占めていたため、営業赤字に沈む。
藤原は伝家の宝刀を抜く。今年2月、早期退職を募集し1477人の応募があった。早期退職は資生堂の経営難を内外に知らしめた。
社長、会長を歴任し、世界的企業に成長させる基盤を築いた福原義春が23年8月30日、老衰のため死去した。
義春は創業者福原有信の孫。創業家出身のドンとして、プロ経営者の魚谷雅彦、後任の藤原憲太郎の就任にOKを出した人物だ。
今後、資生堂のキングメーカーに誰がなるのかだ。 =敬称略