星野監督も苦言 スポーツ紙「横並び報道」のおかしさ
■足りない「分析」と「課題」
おかしいといえば、31年ぶりに決勝へ進んだ世界卓球の女子日本代表の記事も「?」だった。
世界ランク1位の中国戦を前に、「今日金」「金王手、東京で歴史刻む!!! 43年ぶり頂点へ」と1面で大きくぶち上げたスポーツ紙もあった。
世界卓球の会場でその記事を見た中国人の観客たちは、腹を抱えて笑っていたという。
スポーツライターの工藤健策氏は「日本女子の決勝進出、銀メダルは偉業ですが…」と言いつつこう続ける。
「日本のエースといわれた世界ランク9位の石川(佳純)選手は準決勝の香港戦でも劣勢からの挽回でいずれも苦戦。その前日のオランダ戦では41歳のリー・ジャオに接戦で負けている。決勝で当たったロンドン五輪シングルス金の李暁霞(同ランク3位)には0─3で完敗した。現状では日本と世界ランクの上位を占める中国選手との実力には大きな開きがある。中国を破って金などあり得ません。スポーツ紙の記者はそんなことは百も承知です。31年ぶりの決勝ですから、見出しは派手に『金狙い』でもいいでしょう。それなら、中国戦を前にしての日本チームの課題や<小柄な劉詩ウェン(同ランク1位)にはこんな穴がある><李は五輪ではこんなミスが多かった><左利きの丁寧(同ランク2位)にはこういう攻め方が少しは有効かもしれない>とか、相手選手を調べ上げ、分析記事も報じるべきです。ネットで質の高い記事が読める時代に、<昨日は頑張った、決勝は金を狙う>という安易な紙面作りは、スポーツ紙自身が自分のクビを絞めているようなものです」
指摘がされるのももっともだ。