代表選手に容赦ないブーイング…日本がブラジルに学ぶこと
ブラジルサポーターの厳しい目はこの試合に限ったことではない。例えば、W杯直前の6月6日に行われたセルビア代表との国際親善試合では、1―0で勝利しながら、得点できず交代したエースストライカーのネイマールに、地元ファンからは容赦ないヤジやブーイングが浴びせられた。素晴らしいプレーには惜しみない拍手や熱い声援を送る一方、凡ミスや精彩を欠いた選手は叱咤する。これが、W杯優勝5回を誇るサッカー王国のサポーターなのだ。
■1勝もできず帰国した日本代表に「ありがとう」
では、今大会で1勝もできなかった日本はどうだろうか。
「W杯で優勝する」と大風呂敷を広げながら、1勝もできずに帰国した日本代表を、成田空港で出迎えたファンは1000人を超えた。そして、口々に「お疲れさま」「ありがとう」とねぎらいの言葉をかけていた。スポーツファンで作家の吉川潮氏が呆れ顔でこういう。
「敗者にムチを打たない、ある種の情は日本人の美点ではあるけども、その情もかけ過ぎると甘えにつながる。本当に日本代表のことを考えるなら、罵声のひとつでも飛ばして選手に反省させないと。成長は反省から始まるんですから。厳しい批判をして、選手にナニクソと思わせて発奮させないと。サッカーが国民的スポーツとして根づいているブラジルの国民はそれがわかっている。メジャーリーグを現地で観戦したことがある。不甲斐ないプレーをすれば本拠地の選手にだってブーイングが飛ぶ。その厳しさが選手を大きくし、チームを強くする。野球でもサッカーでも日本のスポーツはそこが甘いですね」