勝負弱さ浮き彫りに…阪神「首位攻防初戦」逆転負けの“戦犯”
プレッシャーなのか、呉はマウンドに上がったときから顔色が冴えなかった。キレのいい真っすぐは村田に投じた3球目(150キロ)だけ。阿部の代走として二塁ベースを大きく離れた鈴木の動きもまったく気にすることなく、ロペスには7球目の直球をはじき返された。
呉には空振りが取れる変化球がない。ストレートが走らないと、この日のように苦しい投球を強いられる。戦犯の呉は「結果が悪かったので特に言うことはない」と肩を落とした。
元阪神投手コーチの福間納氏が言う。
「呉は今、韓国と日本の野球の違いを肌で感じていると思う。力勝負を好む韓国の打者は初球からどんどん振ってくる。一方日本の打者は、カウントが追い込まれてもファウルで粘るし、コツコツ当ててくる中でも巨人の打者は技術がある。ポーカーフェースの呉でも首位攻防の初戦はかなり重圧を感じていたはずです。先頭打者の阿部には4打数2安打と打たれていたからなおさらでしょう」
呉の持ち味を引き出せなかった鶴岡にしても、阿部の怖さを知っているだけに、負けられない一戦の最後は変化球で逃げの配球に出たのだろう。