殊勲のソフトB吉村 秋山監督の「1対1指導」に心酔で復活
CSのMVP男・ソフトバンクの吉村裕基(30)が足で魅せた。日本シリーズ第3戦、ソフトバンクは初回、内川の適時打で先制するも、二、三回は得点圏に走者を出しながら点が入らず。その遠い2点目をもぎ取ったのが吉村だった。
四回1死二塁の場面で、打者細川が藤浪のフォークに空振り三振。ところが、阪神先発マスクの鶴岡がワンバウンドを止められず、ボールはバックネットまで転々とした。二塁走者の吉村は暴投と見るや一気に三塁を陥れ、わき目も振らずに本塁に滑り込んだ。
さらに六回には先頭打者安打を放ち、この回3点を奪う口火も切るなど活躍。そんな今の姿に、横浜・DeNA時代の面影はない。12年オフに多村らとのトレードでDeNAからソフトバンクに移籍。横浜・DeNA時代を知る関係者がこう言う。
「06~08年に3年連続20本塁打以上を打つなど、和製大砲として定着したはいいが、これに勘違いしてしまった。09年は前年34本から半分以下の16本しか打てなかったにもかかわらず、自分の形とやらにこだわり、コーチ陣のアドバイスも右から左。それでもチームにとっては貴重な長距離砲だけに起用せざるを得なく、完全なフォーム固めができずにいたのが悪かった。打撃不振は続いて出番も激減。DeNAになって1年目の12年は教育係を任されたラミレスの指導も効果がなく、復調どころかこの年はホームランを2本しか打てなかった」