呉からサヨナラ3ラン ソフトB中村晃に備わる卓越“選球眼”
甘い球を逃さなかった。
日本シリーズ第4戦の延長十回2死一、二塁。カウント1ボール2ストライクからの5球目だった。阪神の守護神・呉昇桓の148キロの直球をコンパクトなスイングで捉えると、打球はホークスファンで埋め尽くされた右翼スタンドに一直線。サヨナラ3ランで試合を決めた。
日本一にリーチをかけた中村はお立ち台で、「トポスシーズ……ポストシーズンでは」と言い間違えるも、特に照れることもなく淡々。「ここまでこれたのもファンの皆さんの応援のおかげ。今日より凄い応援でパワーを下さい」と、大してうれしくもなさそうに話した。
ソフトバンクOBが、中村を評してこう言う。
「朴訥で素直な性格だけど、徹底した職人肌の選手。この日のようにナインにもみくちゃにされて感情を爆発させるのは非常に珍しく、チーム内では『ヒットゾーンは広いけど、感情の揺れ幅は狭い』と言われている。コメントも無難で記者泣かせ。秋山監督も常々、『中村は技術屋だから』と口にしています」