甲子園21世紀枠快進撃の条件
93年のセンバツで横浜は初戦で上宮(大阪)と対戦した。横浜は東の横綱、予選でコールド負けを喫した上宮の評価はあまり高くなかった。すると、上宮の田中秀昌監督(現・近大監督)が背番号9の左投手を奇襲先発させてきた。横浜はまんまと抑えられ、延長戦で敗退。上宮はそのままの勢いで優勝した。春の左投手というと、この時の苦い記憶がよみがえる。
相手校を徹底的に分析し、丸裸にするしかない。練習試合に足を運び、相手の弱点等を把握し、対策を立てる。格上相手なのを忘れないこと。「自分たちの野球をする」より「相手に自分たちの野球をさせない」ことが重要。07年夏に県立の佐賀北が全国制覇を果たした。野球部長が緻密なデータを取ってミーティングに時間を割いていたと聞く。
センバツの注意点は、練習試合の解禁日から4、5試合で甲子園に乗り込まないこと。これでは実戦感覚が戻らない。「10試合」は必要。勝ち上がるチームは、たいていこなしている。
大会当初はスパイクの歯が入らないほど、外野の芝生がカチカチに硬い。センバツは全部で31試合。普通の芝生なら踏み荒らされてガタガタになってしまう。これが、甲子園球場を管理する阪神園芸の技術で、その後のプロ野球の試合に影響が出ないよう、実にうまく整備されているのだ。
ただ、高校生にとってこれは脅威。外野手がツルツルと滑ってしまうのは、あまり知られていない。対処法は送球時のステップ幅を縮めること。走る際の歩幅も小さめに。夏の浜風はライトからレフト方向に吹くが、春の期間中の浜風は3、4日。逆に吹く日が多いから、出場校は頭に入れておくといい。