世代交代が進まない「なでしこ」を待つ“最悪のシナリオ”
■若手をとっかえひっかえしたツケが
日本女子サッカーは11年ドイツW杯、12年ロンドン五輪、そして15年カナダW杯と世界主要大会3回連続決勝進出という快挙を成し遂げた。しかし、東アジア杯の彼女たちのプレーをつぶさに見ていると「快挙は中国に来ていないベテランの力によるもの」と言われても反論できないだろう。
もっとも、佐々木則夫監督にも問題がある。
ドイツW杯以降、国際試合で若手を我慢強く起用してこなかった。かつてDF鮫島彩を試合に使わなくても代表に呼び続け、世界トップの雰囲気に慣れさせた佐々木則夫監督だったが、この4年間は若手をとっかえひっかえするだけ。そのツケが、回ってきていると思えて仕方がない。
男子と比べて国際試合が少なく、若手や中堅を積極的に試す機会が乏しい。日本サッカー協会はもっと多くの国際試合を組み、日本各地で開催したらどうだろうか。
なでしこジャパンを牽引してきたベテランの引退は、決して遠い未来の話ではない。考えられる最悪のシナリオは「20年東京五輪で惨敗し、一気に女子サッカー熱が冷める」というもの。ここ中国で彼女たちのプレーを見ていると――。あり得ない話ではない。
▽森雅史(もり・まさふみ)/佐賀県生まれ。久留米大付設中・高(福岡)から上智大卒業後、サッカー専門誌記者を皮切りにサッカー関連の雑誌や書籍に関わっている。JFA公認C級ライセンス保持者。日本蹴球合同会社代表。ブログ「森雅史のFootball Is Alive」も。