疲労ピーク、起用にも疑問符 清宮「左膝痛で途中交代」の波紋
一塁は中学時代からのポジション。西谷監督は清宮が守備からリズムを作って打撃の調子を上げるタイプだと承知していた。膝の状態がさほど深刻でないなら、勝手知ったるポジションを守らせることで打撃を復活させてやりたいという配慮があったようだ。
この日の第1打席、二ゴロに倒れてトボトボと歩いていると、ベンチのある選手が「早く帰ってこい! デブ!」とスタンドまで聞こえるくらいの大声で叫び、ベンチ内は沸いた。
練習中に転がってきたボールを蹴飛ばすなど1年生らしからぬ行動があった清宮にとって、打つ方で結果が出ない上、膝まで痛み出した。そこで先輩からドヤされれば立つ瀬がないように見えるが、それでめげるような選手ではなさそうだ。トボトボと歩くのは膝の違和感に関係なく、昔からの習性とか。調布シニア時代の恩師である安羅岡一樹監督は「打てないときは天を仰いで何かブツブツ言いながらベンチにノソノソ歩いて帰ってくることが多かった。よく『早くしろ!』と怒鳴りつけたものです」と振り返る。甲子園でも調布シニアの先輩で中堅のレギュラーだった3年の渡辺大地が、清宮に対して「しっかり走れよ」と注意していた。「早く帰ってこい!」という声は清宮にとってむしろ、必要なことなのかもしれない。
「アクシデントで途中交代することになったものの、ベンチから野球を見ることで気持ちを切り替えられることもある。もちろん膝の状態は心配ですけど、先輩のゲキが気持ちの面でいいクスリになってくれたらいいですね」とはチーム関係者だ。